処方箋はキッチンから。薬剤師主婦が実践する「老けない」食事術のリアル【2026年版】
もうすぐ2026年になりますね。
2026年には、AIによる健康管理が当たり前になりそうです。
AIがこの栄養素が足りないと言っているからと、サプリや薬を探す方も増えてきそうです。
しかし薬剤師として強く思うのは、「最高の予防薬は、毎日の食事である」ということです。
今回は、薬のプロとしての視点と、台所を預かる主婦の視点を掛け合わせた、「細胞レベルで老けない食事術」を深掘りしてお伝えします。
体の「サビ」と「コゲ」を防ぐのが鉄則!
老けないためには、体の「サビ」と「コゲ」を防ぐのが鉄則ですが、サプリメントに頼りすぎるのは薬剤師としておすすめしません。
サプリは、食事ではどうしても足りないと思う時に、適量を必要な一定期間だけ使うと効果的です。
ところで、老化の大きな原因は2つあると言われています。
酸化(体のサビ)とは、 紫外線やストレスなどで発生する「活性酸素」が細胞を傷つけること。
糖化(体のコゲ)とは、 余分な糖分が体内のタンパク質と結びつき、老化物質(AGEs)を作ること。
この2つをいかに防ぐかが、5年後、10年後の老けない自分を作る分かれ道になります。
「酸化」を防ぐ:カラフルな食卓を味方にフィトケミカルを丸ごと摂る

細胞をサビさせないためには、「抗酸化作用」の強いフィトケミカルを含む食材を取り入れるのが一番です。
植物が自身を紫外線や外敵から守るために作り出す成分が「フィトケミカル」です。
フィトケミカル(ファイトケミカル)とは、野菜や果物、豆類など植物が紫外線や外敵から身を守るために作り出す色素や香り、辛味、苦味などの成分の総称です。
フィトケミカルこそが最強の抗酸化薬だと思います。
だから私はいつも、スーパーの買い物カゴが「虹色」になるように意識しています。
紫: ナス、ブルーベリー、紫キャベツ(アントシアニン)
緑: ブロッコリー、ほうれ草(ルテイン、ビタミンC)
黄: パプリカ、かぼちゃ(β-カロテン)
色とりどりの野菜や食材を選ぶことで、自然と色々な抗酸化成分のフィトケミカルを食事で摂ることができます。
例えば、赤いリコピン(トマト)やアスタキサンチン(鮭)は、 脂溶性なので、油と一緒に摂ることで吸収率が劇的に上がります。
紫色のアントシアニン(ベリー、紫キャベツ)は、 視覚機能の維持だけでなく、血管の老化防止にも役立ちます。
他では、ハーブも抗酸化作用が高いので料理に少し活用すると効果的です。
私も引越し前の熊本の庭で採取しドライハーブにしておいたローズマリーやレモンタイムを、料理に加えてよく使っています。
今は那覇のベランダに引っ越して育成中なのですが、もっと育ってきたら摘みたてのフレッシュなローズマリーやレモンタイムを再び使おうと思っています。

ドライハーブでも、効果は期待できます。
しかしこれらに含まれるロズマリン酸などのポリフェノールは、収穫直後のフレッシュな状態が最も活性が高いと言われているからです。
まさに「生きた薬箱」をベランダに持っているようなものです。
ハーブは簡単にベランダでも育てることができて、料理にも使えて便利だなと思います。
とはいえ、今はスーパーでもフレッシュハーブを売っていますね。
育てていない時は、それらを活用するのも良いと思います。
「糖化(体のコゲ)」は血管のサビ。AGEsを抑える薬学的な調理法

次に注意すべきは、糖化で、タンパク質と糖が結びついてできる老化物質「AGEs(最終糖化産物)です。
AGEsは血管を硬くし、肌のくすみや動脈硬化の原因になります。
●調理温度とAGEsの相関関係
薬剤師の視点で見ると、調理は一種の「化学反応」です。
AGEsは加熱温度が高ければ高いほど、爆発的に増えます。
「揚げる・焼く(150℃〜200℃)」より「蒸す・煮る(100℃以下)」
例えば同じ鶏肉でも、調理法によって老化物質(AGEs)の量は劇的に変わります。
水炊き(煮る):AGEsが少ない(◎)
蒸し鶏(蒸す):AGEsが少ない(◎)
照り焼き(焼く):AGEsが増える(△)
唐揚げ(揚げる):AGEsが非常に多い(×)
高温で加熱して「こんがり」焦げ目がつくほど、老化物質AGEsは増えてしまいます。
だから私は、蒸したり煮たりをメインにしています。
揚げ物はしないで、代わりにオーブンで油なしで焼くようにしています。
出来上がった後に少量の油をかけています。
案外さっぱりと美味しく仕上がるし、コンロの前に立たなくていいので、実は時短にもなるんですよ。
どうしても揚げ物や焼き物が食べたいときは、「レモン」や「お酢」をたっぷり使うと良いです。
加熱前にこれらに漬け込んだり、食べる直前にかけたりすることで、AGEsの生成を抑えることができるからです。
これは、pHを下げることで化学反応の抑制に繋がっています。
以下の記事も参考にどうぞ
→抗糖化作用がある食材の糖化阻止率!美肌と老化予防の為に糖質を減らすべき?
血糖値スパイクを防ぐ「服薬指導」的食べ方
そして大切なのが、体を焦げつかせないための「血糖値コントロール」です。
つまり、「血糖値の乱高下(スパイク)」を防ぐことです。
●ベジ・ファーストから「プロテイン・ファースト」も意識しよう
最新の知見では、野菜(食物繊維)だけでなく、タンパク質(お肉やお魚)を先に食べることも、インクレチン(GLP-1など)というホルモンの分泌を促し、血糖値の上昇を緩やかにすることがわかっています。
食べる順番は以下を意識すると良いです。
- 1. 食物繊維(海藻・キノコ・野菜): 糖の吸収を物理的にブロック。
- 2. タンパク質・脂質:胃の排泄を遅らせ、糖の吸収をゆっくりにする。
- 3. 最後に炭水化物: 少量でも満足感が得られ、血糖値も上がりにくい。
今の私は、最初に、野菜や豆腐などタンパク質も入ったスープを飲んで、野菜サラダや蒸し野菜などを少し食べて、次にお肉やお魚などタンパク質を少し食べるようにしています。
しかし、日本人的には、ご飯も一緒に食べたいところですよね。
だから、その後、ご飯を食べながら、残りのお肉や野菜を再び、食べるようにしています。
他では、食事前に「小さじ1杯のリンゴ酢」を水100ccくらいで薄めて、少しずつ飲むのも良いようです。
酢酸には、炭水化物を分解する酵素の働きを一時的に抑える効果があるからです。
AIを活用した「賢い手抜き」と「栄養管理」
主婦として毎日完璧な食事を作るのは正直大変ですよね。
そこで私は、AIを「専属栄養士」として使っています。
献立相談: 「冷蔵庫に小松菜と鶏むね肉があるけど、抗酸化メニューにして」と頼むと、一瞬でレシピが出てきます。
GI値チェック: 「この食材、血糖値上がりやすい?」と聞けば、すぐに代わりの食材を提案してくれます。
テクノロジーに頼ることで、心に余裕が生まれます。
それが結果として一番のアンチエイジング(ストレス解消)になっている気がします。
AIも使って、老けない食事を美味しく楽しみたいですね。
最後に:完璧よりも「継続」を

薬局や病院で働いていた頃「もっと早く食事に気をつけていれば…」と後悔する患者さん(特に糖尿病など生活習慣病の方々)をたくさん見てきました。
薬は症状を抑えますが、「若々しさ」を創り出すのは日々の食事です。
そして老化を防ぐ食事術は、1日だけ頑張っても効果は出ません。
大切なのは、「8割の意識」で楽しく続けること。
たまには大好きなピザやケーキを食べても大丈夫。
私も、たまに市販のケーキや菓子パンを食べています^^
その代わり、前後の食事で糖質を減らして野菜を増やしたり、翌日にしっかりデトックスしたりすればいいんです。
難しいことはありません。
美味しく食べて健康になろうと思えば、色々アイデアも浮かびます。
「最初に野菜スープを飲もう」
「今日は揚げ物じゃなく、蒸し料理にしよう」
「レモンを一絞りかけよう」
そんな小さな健康を意識した「選択」が、数年後のあなたの細胞を守る、最強の処方箋になるのです。
2026年こそ、賢く、楽しく、老けない体を作っていきましょう!
